要は持ち主の都合などどうでもいいのである。旧借地借家法(正確には借地法、借家法及び建物保護法を合わせたもの)は明治から大正にかけて制定された法律である。当時は地主、家主は金持ちで、借家人、借地人は貧乏人が多くて立場が弱かったという分かり易い構図があった。しかし今の時代には合ったものとは言い難い。実は1992年に法改正され今の借地借家法では、定期借地権、定期借家権という考え方が導入されている。この契約方式ではいかななる事情があっても期限がくれば立ち退かなくてはならない。残念なことに法改正以前に締結されている契約は旧法が適用されることになっている。未だに多くの地主、家主はこの恩恵を受けられないでいる。
人間にとって住まいは大事で借り手を保護する観点はわからないではない。しかし借りたものは返すのが道理である。一度貸したら二度と返ってこない、ではどこにも正義が無いではないか。
写真は安藤忠雄設計の「表参道ヒルズ」。商業施設だけではなく賃貸物件でもある。建設にあたり土地・建物の権利関係の整理が大変だったという。再開発の話は何度となく持ち上がったのだが、利害関係の複雑さから全て頓挫していた。安藤の熱意と粘り強い説得が関係者を動かし、完成に漕ぎ着けたそうだ。