今日、5月5日はあいにくの雨だったが、名古屋に立ち寄る時間があったので名古屋の安藤建築を探訪することにした。まず行ったのは栄にある「J-ROOM」である。
前面から受ける印象は、神戸の北野にある「ウォールアベニュー」や「北野TO」に似ている。内部には吹き抜けと階段を巧みに配置した安藤ワールドが広がっている。地階は頭上に細い回廊が一本通り、その両側が吹き抜けなのでまるで「住吉の長屋」である。
味わい深い空間であるが、安藤の商業建築のお約束通り、最上階の3階は空き室であった。二階も三階もテナント用のスペースなのだが入り口がわかりにくいのだ。特に三階の入り口は階段を上り詰めた奥の方にある。麻布の「TKビル」と似たような構図である。
周辺のビルは中層から高層化が進んでおり、3階建てのこの作品はかなり低い方である。綺麗に維持されているが土地の利用効率から考えて建替えになっても不思議はない。
次に訪れたのが一社にある「THE QOLビル」である。
クリニックなど医療関係の団体が入居しているビルだが、全く普通のビルである。上層階は賃貸物件になっているようだ。何となくシルエットが「 」などを思わせるが、安藤を髣髴させる吹き抜け、斜めに軸線を振った壁、空間を切り取るフレームといったものが一切ないのが残念である。
祝日のためか入り口もシヤッターが降りていて中を窺うこともできなかった。
この後、個人住宅である「小倉邸」を見学した。「住吉の長屋」のようなコンクリートの直方体だが、一方向にだけ開口部あり、外に対して開いている。「住吉の長屋」よりもかなり大きい立派な住宅である。安藤らしい素晴らしい作品であった。個人住宅は、じっくりと鑑賞しずらいのが難点である。特に雨の人通りの少ない住宅地では。
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